夢塾は1988年4月に長崎大学医療技術短期大学部の第1期生を研究生として迎え入れたことからスタートしました。その後,2001年医療技術短期大学部から医学部保健学科,2006年長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻(修士課程)と改組され,2010年医療科学専攻リハビリテーション科学講座内部障害リハビリテーション学分野(博士課程)に至っています。
 2015年3月現在, 17名が博士(13.1%)を,32名が修士(24.6%)をそれぞれ取得しています。2015年4月1日現在,博士課程に5名、修士課程に1名が在籍し,夢塾の仲間は研究生を含めて130名に達しています。
 20数年前は,研究生として夢塾で学び,放送大学で学士資格を得て大学院に進学するなど,教育環境としては苦難な時代がありました。当時は本学部に大学院が整備されていなかったため,本学の医歯薬学総合研究科や他校の大学院へ進学し,4名が博士号を取得しました。今では,他大学の教員や呼吸リハビリテーション施設で活躍しています。その先輩たちの後ろ姿を見て,修士や博士課程の進学を目指す仲間も少なくありません。夢塾の中で確実に「深く理学療法を探求する:研究者マインド」と「患者さんの視点に立った理学療法・作業療法:臨床マインド」は仲間に伝統として受け継がれ,守られながらさらに成長を続けています。
 夢塾の活動として,学会では「日本呼吸ケア・リハビリテーション学会」を主軸に,国内では日本呼吸器学会,日本理学療法学術大会,海外ではEuropean Respiratory Society(ERS),American thracic Society(ATS),アジア太平洋呼吸器学会(APSR)などで,口述発表やポスター発表,論文投稿を行っています。
 また,臨床活動では,関東地区(御茶ノ水呼吸ケアクリニック,複十字病院,草加内科呼吸ケアクリニック),東海地区(公立陶生病院,大垣市民病院,伊勢日赤病院),中四国地区(吉島病院,水島協同病院),九州地区(長崎大学病院,田上病院,長崎呼吸器リハビリクリニック,長崎百合野病院,済生会長崎病院,霧が丘つだ病院,大分大学医学部附属病院),沖縄地区(沖縄県立中部病院,沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)など,長崎を拠点として関東から沖縄まで各地区で呼吸リハビリテーションの啓蒙を行っています。
 これらの日々の研究活動や臨床活動で得られた知識は,公開講座「慢性呼吸不全」において,呼吸リハビリテーションに関心のある医療従事者に情報公開と技術伝承を行っています。その回数は平成26年で28回を数え,約4,000人以上の医師,看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士など呼吸リハビリテーションに携わる多くの医療関係職種の方々に受講していただきました。その中から,わが国の呼吸リハビリテーションや呼吸理学療法のオピニオンリーダーが数多く誕生し,夢塾との連携が長崎から全国へ広がっています。
 夢塾は,ここに集う仲間や呼吸不全で悩んでいる患者さんの「夢」をかなえることを目的に開設された研究室です。塾生や患者さんの願いをどの程度かなえることができたか,とても結論を出すことはできませんが,夢塾がある限り,その目標に一歩でも近づける研究室でありたいと願っています。 (千住秀明 記)

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